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教育や文化のコラム
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大学に入るときには学部・学科を決めない
                                                         08.01.28
本日の日経新聞23面に、真っ向から対立する2つのコラムが同時に掲載されていて、
思わず、苦笑いをしてしまいました。

一つのコラムは国際基督教大学の鈴木典比古学長によるコラムで、以下のようなタイトルです。

国際基督教大学、学科制を廃止
少人数 教養教育を重視
「専門」とバランスよく

アメリカの大学を例にして、国際基督教大学でも同じような制度にするというもので、以下のような
特徴があります。
*1953年の開校以来、教養学部の1学部のみ
*その教養学部のなかにあった6学科を廃し
*従来の志望学科を指定する受験方式を撤廃し、学生は全員教養学部に入学する
*学生は2年次の終わりまでに30余りの専修分野(メジャー)から自分の専門を決める
*学生は限られた情報や単なるイメージに基づくのではなく、大学での学びの経験し、それぞれの分野の
  の内実を理解した上で、専門を選択する
*2つの専修分野を選ぶ「ダブルメジャー」も可能(従来の学部・学科を掛け持ちするようイメージ)
*2つの分野の単位数の比率を変えた「メジャー(専攻)とマイナー(副専攻)」という選択もOK

ようするに、大学に入る時には学部・学科を決めないで、3年生になるときに学部・学科を選ぶ
ということです。

アメリカやカナダではごくごく普通のことなのですが、振り返って日本の教育制度を見比べてみると、
とても“硬直”して“柔軟性に欠ける”制度に見えます。 私もアメリカに留学してから、このように
「学部・学科」をいろいろな勉強をしてから選択できるというのは、「とても素晴らしい制度だな〜」と
思っていましたし、北米への留学をオススメする理由の一つでもあります。

そして、このように大学入学時に学部学科を選ぶ必要がなくなると、高校2年での「文系・理系」の
選択(選別?)をする必要も無くなります。

ある意味、普通科・商業科・工業科・農業科・建築科などなどを選ばなければいけない高校入試も
そうですが、高校生ぐらいで自分自身の進路・キャリアをほぼ固定してしまい、変更できないという
のは、個々の人間の可能性を引き出すという面で、とても非効率だと思います。

このようなコラムの隣りにあったのが、塾の先生によるコラムで、センター試験の結果と予備校に
よる合否予想によって
、1人の女子生徒が出願する学部を第一志望の社会学部から法学部に
変更
したというものでした。

この女子高生の将来設計については何も書かれていなかったため、社会学部に入学しても法学部に
入学しても、問題にならないのかもしれません。 しかし、そうは言っても、「法律は私たちの生活その
ものである“社会”の一部なので、まったく第一希望とかけ離れているわけではないかもしれなけど、
でも、社会学部と法学部は違うよな〜」などと苦笑せずにはいられません。(^_^;)

まして、直前に「大学に入る時には学部・学科を決めない」というコラムを読んでいましたので、
真っ向から対立する2つのコラムの好対照に、日経新聞のユーモア(?)さえも感じてしまったところ
です。

中学生や高校生の勉強のお手伝いをしていてつくづく思いますが、高校の学科をはじめ、大学の
学部学科の選択などにもっともっと柔軟性を持たせ、途中での変更が容易にできるように教育制度が
変わって欲しいと切望します。


08.01.28

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